2015年1月12日月曜日

自分で漆の樹液を採り塗った椀

本日最終日となった暮しの道具展から
岩手県の漆掻きであり、漆器作家である猪狩史幸さんの
漆椀をご紹介します。

猪狩さんは、6月から11月の間、山に入ってウルシの樹液を採り
自ら採ったその漆で、冬から春の間お椀を塗っています。

漆は、木に傷を付けながら出てきた樹液を掻きとっていくという
地道な作業で、一日に採れる量はわずか牛乳一本分(180cc)なんだそうです。

以前一日猪狩さんの漆掻きに同行された日野さんは、へとへとになったと
いうことでした。


猪狩さんの漆のお椀は、下地を塗らず漆を塗り重ねているためか
透明感があり木地の木目がうっすらあと見えるのが特徴的です。

お椀の形もいくつかあり、「初椀」「盛椀」「末椀」など
それぞれ採れた時期の異なる漆が塗られているそう。






































上のお椀の写真は猪狩さんが3年使用したもの。
とても美しいつやが出て、さらに透明感が増しています。

漆器というと、高級で特別なときに使うもの、お手入れが大変そうという
というイメージがありますが、洗い方やしまい方などいくつかのことを
守れば毎日の食卓で気楽に使えるようです。

使うごとにどのように変化していくか楽しみな器です。






2015年1月7日水曜日

白樺の樹皮を自分で採ってつくった籠






























益子店にて開催中の日野明子暮しの道具展から
今回初登場の、<森の籠>の白樺の籠とマットをご紹介します。


北海道・置戸で制作をされている、<森の籠>の谷幸子さんの籠づくりは
白樺林で自ら樹皮を採取する所から始まります。

夏至の前後一ヶ月という限られた期間に、幾度も林に足を運び
木の状態をチェックします。
天候によって採れる量が左右されるそうで
何度も足を運んでも、ほとんど採れない年もあるのだとか。

採取したあとの白樺を、編める状態にするのがまた大変。
表皮を何枚か剥がし、平らな状態にしてから
刃物で切れるくらいの厚みに調整し、節を取り除くなどして
帯状に切ったものをオイルでなめします。

ここからようやく編む作業に入るというから驚きです。
編み上がった籠は蜜蝋オイルで仕上げてあり、しっとりとしたなめらかな質感。

マットは、谷さんのお母様が編まれたもので、なんと白樺の樹皮が
5重構造になっているのだそうです。
どうりでふっくらしているわけですね!
一般的な4重構造のものよりも、丈夫な仕上がりになっています。

谷さん曰く、樹皮を採り編める状態に持ってくるまでの作業が
籠づくりの工程の8〜9割なんだそうです。(!)

こうして出来上がった白樺製品は、美しいだけでなく強くて丈夫
水洗いもできてしまいます。

手入れをしながらともに長く暮らしていきたい道具です。






2015年1月5日月曜日

日野明子 暮しの道具展 始まりました

毎年お正月恒例、日野明子さんの暮しの道具展が
1月3日からスタートしました。

今回も、目利き日野さん選り抜きのお道具が目白押しです。

白木のお櫃や弁当箱、白樺のカゴやマット
木工のカトラリー、しゃもじやへら、石鹸置き
間伐材を使った箱膳、やさしい手触りの棕櫚の束子と箒
鋳物の鍋敷き、すりばちに山椒の木のすりこぎ
再生ガラスのグラスとお皿、業務用のうすはりグラス
プロ仕様のステンレス用品、シンプルなデザインのカトラリー
ラオスの手紡ぎ手織りタオル、残糸でつくられた軍手
職人自ら掻いた漆を塗ってつくられた漆器
繊細でうつくしい磁器
などなど!

どの商品も、日野さん自ら全国の生産者のもとへ足を運び
ものづくりの現場を見て選り抜かれたものです。

横に添えられた日野さんによる商品説明もぜひご一読いただきだいです。

1月10日から12日は日野明子さんも在廊されますので
是非足をお運びくださいませ。













 






































日野明子 暮しの道具展
開催中〜1月12日(月・祝)
starnet益子店 ギャラリー遊星社