2009年7月19日日曜日

今野安健 陶展

昨日より、ARKギャラリー遊星社で
今野安健さんの陶展が行われています。

STARNETでは初めての展覧会となる今野さんは、
山形県鶴岡市にて作陶を行っていらっしゃいます。
以前「冬になると作陶よりも先ず雪かきです」とおっしゃっていたのが印象的で、
山深い土地に今年新しく登り窯を築かれ、その新たな意気込みも土地同様逞しさに溢れています。

作品に触れていると、迷いのない轆轤、勢いのある鎬(しのぎ)、面取りといった技法をとおして
今野さんの真っ直ぐなお人柄と焼き物に対する熱い思いが伝わってきます。





有田と唐津、異なる窯業地で陶芸を学ばれた今野さん。
今回の展覧会では、定番の白磁の作品も多く並び、持ち上げると程好い厚みを手の中に感じ、
とろりと流れる釉薬のあとに、人の手からうまれたあたたかさを感じます。
コーディネートもしやすい白、日常使いに成り得る器たち。
器の中に、いろいろなお料理が目に浮かんできます。





ゆるやかにひとつひとつ異なる曲線が魅力的です。
"感覚的に轆轤に向かわれているんだなあ"と感じる瞬間です。



また、もうひとつの魅力は薪窯ならではの、控えめではありますがちらほらと見える灰による窯変。
この表情(景色)に魅せられることもしばし。
一般的に端正なイメージが多い白磁で、このような本来の焼き物が持つ力強さも感じ得れる作品は
普段あまりお目にかかれないように思います。

白磁の他には陶土でも多く作られていて、灰釉、粉引、焼締などがあります。



白磁との差はもちろん見た目にもありますが、
轆轤のひき方や釉薬の施し方には一貫性があるように感じます。
その姿勢は異なる灰釉や粉引でも伺え、手に取ると今野さんの有する確かなしごとに
思わず顔がほころびます。

今回、是非その感触を味わって頂けたらと思っています。
ご来場お待ちしております。



今野安健 陶展
ARK 2F ギャラリー遊星社
7/18(土)~7/26(日)

2009年7月7日火曜日

坂の上のおたのしみ(前半)

暑さが日に日に増してくるこの季節。
夜には須田ヶ池の畔でほたるの群が光を放ち、その美しさに見とれ、
思わず漏れるため息と共に一日の疲れも吹っ飛び、
巡る日、気がつけば蝉の鳴き声も本番を迎え、ジリジリと耳に響きます。
次から次へ青々と留まることを知らぬかのように、
スターネットのまわりに自生する雑草たちもぐんぐん生い茂り、自然の生命力の強さを感じます。



今朝ARKの入り口から外へ立つと、正面の坂の頂にヤギのメメコ(通称メーちゃん)が
ぱくぱくと草を美味しそうに食べているのが遠目に見えました。
梅雨の最中、貴重な晴れ間に時折こうやってメーちゃんにお掃除してもらいます。
スターネットでは毎度お馴染みの朝の光景。





坂を上りきった左に、メーちゃんの広場(晴れの日用)があります。
朝から午後3時くらいまで、メーちゃんはここで過ごしています。
誰かが前をとおりかかるのを察して、ひょこんと顔を出してお出迎えするときもしばし。



正面には、益子の森と駐車場が広がります。
少々心臓破りのこの坂の上に、ご褒美にも似た森の緑が目に飛び込みます。
季節や時間によって異なるその表情、日が沈んだ後の天に輝く星もまた格別です。



駐車場の先にも、メーちゃんの小屋(雨が降ったときと日差しが強い日用)があります。
メーちゃんは夕方前にはこちらに戻り、眠るのもこの小屋です。



さて、メーちゃんの小屋を正面に立つと右に更に坂が続きます。
こちらを上がって頂くと、左に黒い屋根の建物【RECODE(リコード)】があります。



福島の奥会津より180年前の古民家を移築し再生させたRECODE。
その内部の天井は高く、一歩足を踏み入れて頂くとそのさまに皆さんしばし驚かれます。

RECODEでは、2月から常設展示で『ギャラリー而今禾』を展開しています。
http://www.starnet-bkds.com/recode/jikonka/index.shtml
各国各時代の古道具を、三重県亀山市の而今禾さんより納品頂いています。
而今禾オーナー・西川さんの目をとおして選ばれた道具は様々な用途であるものの、
並べてみると大変面白く、テイストに一貫性を感じます。



展示会場の正面の小さな丸いテーブルには、季節感を盛り込んでディスプレイ。
現在は、涼しげな戦前に作られたガラス製品が並べられています。





年配のお客様は「なつかしいですね」と仰りながら、目を細めて見て頂いたり、
お若いお客様には「おもしろいですね」と、めずらしそうにじっくり見て頂いたり。
各々感じ方は様々のようで、その様子を伺うのもまたたのしく感じています。





RECODEでは、ギャラリー而今禾の他にもいろいろと展開を行っています。
それらの内容にはRECODEの在り方の意義や、お客様へ伝えていきたいことを含んでいます。

「坂の上のおたのしみ」は後半へつづきます。
本日は七夕です。更に七夕には19年ぶりの満月だそうです。
益子もそろそろ日が沈んできました。このまま夜は晴れてほしい!
そう願いながら、今夜は過ごしたいと思います。

※RECODEは2009年12月23日をもって、営業を終了となります。
長い間、ご愛顧頂きありがとうございました。
2010年2月1日に『山の食堂』としてリニューアルオープンとなります。
よろしくお願い致します。(2009年12月26日追記)