2009年8月30日日曜日

松村英治 陶展 会期延長のお知らせ

ギャラリー遊星社で行われている、『松村英治 陶展』が
最終日8/30(日)から9/13(日)に変更となりました。
引き続きおたのしみください。
よろしくお願い致します。

2009年8月24日月曜日

松村英治 陶展

一昨日より、ARKギャラリー遊星社で
松村英治さんの陶展が行われています。

二年前の夏にZONEで行って頂いた以来、STARNETでは二度目の展覧会となります。
前回の展覧会をご覧頂いた方もいらっしゃるのではないでしょうか、
メインで大きな手や足の彫刻の作品を展示頂きましたが、
今回も前回同様、器の他に彫刻を32点制作頂きました。





前回と大きく違うのは、第一に会場の空間規模。
ギャラリー遊星社の空間に準じて制作して下さいました。
よって、今回の彫刻の仕事は自然とより緻密なものになります。





大学で彫刻を学ばれ、土を身近に感じ、その後チベットやネパールを旅され、
目や肌で感じた風景の一片とその後の日々の記憶を制作に紡ぎ出す中、
抽象的に生まれたものを考察し完成する作品たち。
作品の容は様々であるものの、彫刻の仕事に対する真摯で深い感情の中で
最終的に"見てもらうもの"として自身の作品を捕らえ認識をする姿勢に
改めて松村さんの意思を感じられたように思います。

また、器は松村さんの定番作品となる焼き締めと、
新たに始められた技法の灰釉の作品が並びます。
丹念な水肥をあえて省くことによって土本来の質感を味わうことの出来る少し荒めの土で、
感覚的に轆轤を引き、更に素焼きをせずに灰釉を生掛けし焼成して出来た器。
手に取ると、肉厚な胴と表面のひび割れやざらりとした質感に、
土と共存してきた松村さんの新たな仕事を感じ得ることが出来ます。





焼成と磨きを繰り返し何度も行い完成する焼き締めとは対極な仕事に思えますが、
作陶の日々の中で、日常づかいに適した器を模索し改善も続けていると仰り、
使い続けられる器としての存在価値を高められる意識を強く持たれている思考は
彫刻の仕事と一貫性を感じます。



そんな松村さんの魅力がたくさん溢れる展覧会です。
彫刻を含めた展覧会は頻繁には催されないとのことですので、この機会に是非ご高覧ください。
ご来場お待ちしております。



松村英治 陶展
ARK 2F ギャラリー遊星社
8/22(土)~9/13(日)
※本展覧会、8/30(日)までのご案内でしたが、会期が延長となりました。(8/30追記)

2009年7月19日日曜日

今野安健 陶展

昨日より、ARKギャラリー遊星社で
今野安健さんの陶展が行われています。

STARNETでは初めての展覧会となる今野さんは、
山形県鶴岡市にて作陶を行っていらっしゃいます。
以前「冬になると作陶よりも先ず雪かきです」とおっしゃっていたのが印象的で、
山深い土地に今年新しく登り窯を築かれ、その新たな意気込みも土地同様逞しさに溢れています。

作品に触れていると、迷いのない轆轤、勢いのある鎬(しのぎ)、面取りといった技法をとおして
今野さんの真っ直ぐなお人柄と焼き物に対する熱い思いが伝わってきます。





有田と唐津、異なる窯業地で陶芸を学ばれた今野さん。
今回の展覧会では、定番の白磁の作品も多く並び、持ち上げると程好い厚みを手の中に感じ、
とろりと流れる釉薬のあとに、人の手からうまれたあたたかさを感じます。
コーディネートもしやすい白、日常使いに成り得る器たち。
器の中に、いろいろなお料理が目に浮かんできます。





ゆるやかにひとつひとつ異なる曲線が魅力的です。
"感覚的に轆轤に向かわれているんだなあ"と感じる瞬間です。



また、もうひとつの魅力は薪窯ならではの、控えめではありますがちらほらと見える灰による窯変。
この表情(景色)に魅せられることもしばし。
一般的に端正なイメージが多い白磁で、このような本来の焼き物が持つ力強さも感じ得れる作品は
普段あまりお目にかかれないように思います。

白磁の他には陶土でも多く作られていて、灰釉、粉引、焼締などがあります。



白磁との差はもちろん見た目にもありますが、
轆轤のひき方や釉薬の施し方には一貫性があるように感じます。
その姿勢は異なる灰釉や粉引でも伺え、手に取ると今野さんの有する確かなしごとに
思わず顔がほころびます。

今回、是非その感触を味わって頂けたらと思っています。
ご来場お待ちしております。



今野安健 陶展
ARK 2F ギャラリー遊星社
7/18(土)~7/26(日)

2009年7月7日火曜日

坂の上のおたのしみ(前半)

暑さが日に日に増してくるこの季節。
夜には須田ヶ池の畔でほたるの群が光を放ち、その美しさに見とれ、
思わず漏れるため息と共に一日の疲れも吹っ飛び、
巡る日、気がつけば蝉の鳴き声も本番を迎え、ジリジリと耳に響きます。
次から次へ青々と留まることを知らぬかのように、
スターネットのまわりに自生する雑草たちもぐんぐん生い茂り、自然の生命力の強さを感じます。



今朝ARKの入り口から外へ立つと、正面の坂の頂にヤギのメメコ(通称メーちゃん)が
ぱくぱくと草を美味しそうに食べているのが遠目に見えました。
梅雨の最中、貴重な晴れ間に時折こうやってメーちゃんにお掃除してもらいます。
スターネットでは毎度お馴染みの朝の光景。





坂を上りきった左に、メーちゃんの広場(晴れの日用)があります。
朝から午後3時くらいまで、メーちゃんはここで過ごしています。
誰かが前をとおりかかるのを察して、ひょこんと顔を出してお出迎えするときもしばし。



正面には、益子の森と駐車場が広がります。
少々心臓破りのこの坂の上に、ご褒美にも似た森の緑が目に飛び込みます。
季節や時間によって異なるその表情、日が沈んだ後の天に輝く星もまた格別です。



駐車場の先にも、メーちゃんの小屋(雨が降ったときと日差しが強い日用)があります。
メーちゃんは夕方前にはこちらに戻り、眠るのもこの小屋です。



さて、メーちゃんの小屋を正面に立つと右に更に坂が続きます。
こちらを上がって頂くと、左に黒い屋根の建物【RECODE(リコード)】があります。



福島の奥会津より180年前の古民家を移築し再生させたRECODE。
その内部の天井は高く、一歩足を踏み入れて頂くとそのさまに皆さんしばし驚かれます。

RECODEでは、2月から常設展示で『ギャラリー而今禾』を展開しています。
http://www.starnet-bkds.com/recode/jikonka/index.shtml
各国各時代の古道具を、三重県亀山市の而今禾さんより納品頂いています。
而今禾オーナー・西川さんの目をとおして選ばれた道具は様々な用途であるものの、
並べてみると大変面白く、テイストに一貫性を感じます。



展示会場の正面の小さな丸いテーブルには、季節感を盛り込んでディスプレイ。
現在は、涼しげな戦前に作られたガラス製品が並べられています。





年配のお客様は「なつかしいですね」と仰りながら、目を細めて見て頂いたり、
お若いお客様には「おもしろいですね」と、めずらしそうにじっくり見て頂いたり。
各々感じ方は様々のようで、その様子を伺うのもまたたのしく感じています。





RECODEでは、ギャラリー而今禾の他にもいろいろと展開を行っています。
それらの内容にはRECODEの在り方の意義や、お客様へ伝えていきたいことを含んでいます。

「坂の上のおたのしみ」は後半へつづきます。
本日は七夕です。更に七夕には19年ぶりの満月だそうです。
益子もそろそろ日が沈んできました。このまま夜は晴れてほしい!
そう願いながら、今夜は過ごしたいと思います。

※RECODEは2009年12月23日をもって、営業を終了となります。
長い間、ご愛顧頂きありがとうございました。
2010年2月1日に『山の食堂』としてリニューアルオープンとなります。
よろしくお願い致します。(2009年12月26日追記)

2009年6月14日日曜日

曽田耕 靴鞄展

昨年のRECODEでの展覧会に引き続き、昨日よりARKギャラリー遊星社で
曽田耕さんの靴鞄展が行われています。





これから迎える暑い季節にイメージの添う鮮やかな色づかいの鞄や、
材料を組み立ててかたちにしていく楽しさをストレートに表現した作品たちが
次々とテンポ良く目に飛び込み、モダンな空間が一変しています。









様々な革を裁ち、継ぎ、縫う。
仕上がった作品を見ていると視覚に得る感覚が先行し、その一連の作業は想像できるものの、
これらの作業に対してひとつひとつ意味を持ち続け、制作に励む曽田さん。
幼少の頃から物作りが大好きで、その感性と共に育ち、
靴や鞄作りを生業とする以前も現在も、手作りの暮らしをこなし続けています。
しかし一言で手作りと言えど、そこに感じる背景は実に現代的。
生活の礎となってきた手作りの暮らしの知恵の延長線上に成る作品、
そこにはインスピレーションやジャンルには捕われない明確な思考があり、
その中でも機能性を大切にしていると仰います。
作業効率も視野に入れ、自分に必要だと判断したものは積極的に受け入れて取り入れて、
自身のしごとを確立されています。
そのスパッとした潔さは、軽快にパズルを次々と組み合わせていくようにも感じ得れます。
人生で出合い得たものに実直に向き合い、お名前のとおり自身の手で事を耕し素直な表現を
し続けられてきた曽田さん。
そんな曽田さんが繰り広げ続けるパズルを、
この展覧会をとおして多くの方に感じて頂けたらうれしいです。

また、曽田さんには会期中、毎日在廊頂きます。
普段使用している道具やミシンを東京の工房から持ち込んで頂き、
我々の目の前で制作をしてくださいます。
貴重な制作風景をこの機会におたのしみください!





曽田耕 靴鞄展
ARK 2F ギャラリー遊星社
6/13(土)~6/21(日)