今野安健さんの陶展が行われています。
STARNETでは初めての展覧会となる今野さんは、
山形県鶴岡市にて作陶を行っていらっしゃいます。
以前「冬になると作陶よりも先ず雪かきです」とおっしゃっていたのが印象的で、
山深い土地に今年新しく登り窯を築かれ、その新たな意気込みも土地同様逞しさに溢れています。
作品に触れていると、迷いのない轆轤、勢いのある鎬(しのぎ)、面取りといった技法をとおして
今野さんの真っ直ぐなお人柄と焼き物に対する熱い思いが伝わってきます。


有田と唐津、異なる窯業地で陶芸を学ばれた今野さん。
今回の展覧会では、定番の白磁の作品も多く並び、持ち上げると程好い厚みを手の中に感じ、
とろりと流れる釉薬のあとに、人の手からうまれたあたたかさを感じます。
コーディネートもしやすい白、日常使いに成り得る器たち。
器の中に、いろいろなお料理が目に浮かんできます。


ゆるやかにひとつひとつ異なる曲線が魅力的です。
"感覚的に轆轤に向かわれているんだなあ"と感じる瞬間です。

また、もうひとつの魅力は薪窯ならではの、控えめではありますがちらほらと見える灰による窯変。
この表情(景色)に魅せられることもしばし。
一般的に端正なイメージが多い白磁で、このような本来の焼き物が持つ力強さも感じ得れる作品は
普段あまりお目にかかれないように思います。
白磁の他には陶土でも多く作られていて、灰釉、粉引、焼締などがあります。

白磁との差はもちろん見た目にもありますが、
轆轤のひき方や釉薬の施し方には一貫性があるように感じます。
その姿勢は異なる灰釉や粉引でも伺え、手に取ると今野さんの有する確かなしごとに
思わず顔がほころびます。
今回、是非その感触を味わって頂けたらと思っています。
ご来場お待ちしております。

今野安健 陶展
ARK 2F ギャラリー遊星社
7/18(土)~7/26(日)